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お知らせ・プログラミング学習のトピック
4/11/2019 STEM教育と仕事―雇用や賃金の動向(前編)STEM教育は、未来の社会を担う若い世代においては特に必須と言われ、世界各国の教育のあり方に強く影響しています。日本でも「STEM」が教育関係者だけでなく、広く一般に認知されつつあります。今回は2回に分けて、STEMに関連する分野の成長や雇用、そこで働く人々の賃金の動向について、STEM教育で先行するアメリカを例にとってお話していきたいと思います。 アメリカ国内におけるSTEM分野の市場は成長し、変化し続けています。 Live Scienceによると、クラウドコンピューティングの分野だけでも2011年〜15年の間に170万人の新規雇用がありました。また、アメリカの労働組合の中央組織に相当するAFL-CIOの専門職部門(Department for Professional Employees (DPE) によると、STEM系職種全般の失業率は全国平均より低いといいます。 加えて、2015年に米労働省労働統計局は、100のSTEM系職種のうち93で、賃金が全国平均を上回ると報告。こうしたことから、STEM系の雇用は増加・安定しており、賃金も高いと結論づけることができます。STEM市場は収益性が高く、繁栄・成長しているのです。 前出の労働統計局によると、2008年に起きたリーマンショックからの回復期だった2010年〜15年に、テクノロジーや数学系の職種で83万8千人、建築と工学系では33万5千人の雇用が創出されました。建築とエンジニアリング部門においては12.8%の成長率を記録し、リーマンショックで失われた雇用数を3万5千人上回りました。 成長はここ近年も続いています。前出のDPEも、2015年にコンピューターや数学系の職種は436万9千人、建築や工学系の職種は295万4千人、生命科学、物理学や社会科学系の職種では140万4千人の専門職系雇用が創出され、専門的な労働力の15.1%、アメリカの職場の5.9%をSTEM系が占めていると報告しています。つまり、STEM系の仕事はアメリカ内の労働力の大部分を占めるだけでなく、その割合も拡大し続けているのです。 STEM分野は非STEM分野よりも急速に成長しています。 2015年に米労働統計局は、STEM系業種の雇用は2009年5月〜2015年5月の間に10.5%(81万7千人)上昇したのに対し、非STEM系は5.2%だったとしています。 米商務省も近年、STEM系職種が17%の割合で成長しているのに対し、他では9.8%だったことを確認しています。これに加えてSTEM Connectは、STEM系の大学新卒者1名につき、STEM系のエントリーレベルの仕事が2.5あったと報告しています。 また、アメリカ政府だけでなく、大手調査機関Pew Research Centerは過去30年間のSTEM市場の成長を調査しており、STEM系職種における雇用は、1990年以降、970万人から1,730万人と1.8倍近く成長していることを明らかにしています。 STEM系学生は雇用拡大の恩恵にあずかるだけでなく失業のリスクも低く抑えられています。All Togetherによると、STEM系専攻の卒業生の失業率は2017年12月の時点で3.8%でした。これは同時期のアメリカ国内失業率の8.1%前後を大幅に下回っています。(非STEM系専攻では4.3%) まとめ 政府、民間による統計や大規模調査の結果から、アメリカ国内におけるSTEM系職種の雇用拡大は安定しており、失業リスクも平均より低く抑えられていることがおわかりいただけたでしょうか。次回は、STEM分野の中でも成長が高い分野とそうでない分野についてと、STEM系雇用の賃金動向についてお話したいと思います。 (おことわり:記事中のデータや出典については、次号で明記します。) コメントの受け付けは終了しました。
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